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院長のコラム第35回 那須先生 第41回日本骨折治療学会で発表

第41回日本骨折治療学会が、6月26日(金)、27日(土)奈良市で開催されました。この学会は、最初日本骨折研究会の名前で、始まりました。那須先生は、第5回の会長をなさっています。学会規模は、最大の日本整形外科学会学術集会に次ぐ大きな学会となっています。

発表は、先生のライフワークである、大腿骨頸部骨折の観血的手術の治療成績についてです。26日午後17時20分「エキスパートの手術手技」のセッションで、ビデオを使っての発表でした。固定器具に頼る最近の傾向に、警鐘を鳴らす立派な発表をなさいました。3つの質問にも的確に答えられました。改めて那須先生のすごさに感激しました。

さて、老人性大腿骨頸部骨折について簡単に説明いたします。老人性大腿骨頸部骨折は、股の付け根の骨折で、骨粗鬆を基盤に、転倒などの些細な外力で発生します。移動能力が奪われ、「寝たきり」の大きな原因の一つです。治療は、①観血的整復・固定術 ②人工関節・人工骨頭置換術の2つに分けられます。合併症(肺炎、褥瘡、認知症発症・増悪など)を考えると、手術が第一選択となり、「早期手術・早期離床(リハビリ)」が原則となります。手術治療の選択は、骨折がずれていない時は①を、ずれが大きい(転位型)時は、②が行われるのが、一般的です。ずれが大きいと、この骨折の宿命である大腿骨頭の壊死、圧潰(骨が崩れること)を生じてしまい、股関節痛のため歩行困難・歩行不能になります。

那須先生は、ずれの大きな骨折に対しても、整復・固定を行ってこられました。その成績は日本のトップクラスです。患者にとって手術侵襲は小さく、早期から歩行が可能です。この1年半の期間中、骨頭壊死(骨が崩れること)も数例発生していますが、救済手術が行われています。

<追伸> 
那須先生の技術を伝承してゆきたいと思います。