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コラム

院長のコラム第25回 肩のこらない、肩こりの話

肩こり、首筋のこりを経験した人は多いと思います。
肩こりは、ある教科書では、「肩こりとは頸椎から肩甲骨にかけての緊張感や重苦しい“張る”ような感じをいい、診断名ではなく症状名の一つである。そのためいくつかの原因があげられる(今日の整形外科治療指針 医学書院)」と記述されています。首の神経によるもの、コンピューター作業などによって手と眼を使う長時間の精神的緊張が続くこと、そして内臓疾患でも起こります。
首の後ろ(項部)から、肩にかけての肩こり(いわゆる一般的な肩こり)で、病院を受診される人はほとんどありません。肩こりとわかっておられるからだと思います。
「背中が痛い」と言われて、整形外科を受診される患者さんが意外と多いと思います。背中が痛いと、心臓の病気(狭心症、心筋梗塞)、肺の病気などを、心配されるようです。肩甲骨周囲、とりわけ肩甲骨内側部の痛みを訴える人が、多いのに驚きます。
首の神経が関与していないか、内臓の疾患が無いか、診察を進めてゆきます。そして、肩甲骨周囲の筋肉痛の診断がつきます。治療は、鎮痛消炎剤、筋の緊張を和らげる薬などの薬物療法、ブロック注射、温熱療法、運動療法、日常生活指導などが行われます。

原因がいずれであれ、この肩こりは首・肩甲骨周囲の筋緊張が高まった状態です。筋血流が悪く、血液中に老廃物の蓄積が起きます。マッサージはこの血液、体液の鬱滞を改善するために、効果があります。上手な、マッサージ師さんにしてもらうと、痛みがすーっととれるのは、血流が改善し、きれいな血液に入れ替わるからです。しかし、常にマッサージを受けることは不可能ですので、自分で肩甲骨周囲筋のストレッチ、筋肉収縮訓練をすることが、大切になってきます。肩こりの運動療法はたくさんありますが、私が、外来で 勧めている方法を紹介します。
まず、肩甲骨を寄せる運動です(図1)。次に肩甲骨をできるだけ離す運動をします(図2)。最後に頭の後ろで手を組み姿勢を正して、再び肩甲骨を寄せます(図3)。時間は3~5秒、3回を1セットとし、朝、昼、夜と行います(秒、セット数は各自で決めてください)。
このあと、首回し、肩回しをします。
首、肩を毎日、手入れすることが大切です。

<追伸>スマホで前かがみの、悪い姿勢の時間が長いと、肩こりがおきます。

図1
土俵入りのように腕をあげ、胸を張り、肩甲骨を寄せます。

図2
両手を組み、前にまっすぐ、水平に突き出します。肩甲骨が離れます。

図3
頭の後ろで、両手を組み、胸を張り、肩甲骨を寄せます。この時、くびの後ろ(項部)の筋肉を意識して、ほんの少し力を入れます。