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コラム

院長のコラム第19回 寝たきり老人にならないために

6月27日(金)、28日(土)、第40回日本骨折治療学会で参加しました。今回は熊本市で行われました。岡山から新幹線で2時間とちょっとで着きます。便利になりました。

学会では、私はいつも大腿骨頸部骨折の、口演、講演を主に聴きます。その訳は、この骨折が昔から“Unsolved fracture(未解決の骨折)”と言われ、今なお、全整形外科医が、より良い治療法のために努力しているからです。この骨折の問題点(固定法、固定材料、リハビリテーションなど)を聴けば現在の骨折治療レベルが見えます。この骨折の未解決な事とは、一つは骨折が癒合しても、骨が死に(壊死)、壊れて変形性股関節症になる症例が、数は少ないでが、あることです。もう一つは骨折がつかないこと(癒合不全)が稀にあることです。

大腿骨頸部骨折は、ご存知のように、股の付け根の骨折で、高齢者によく見られます。高齢者の骨粗鬆症を基盤にし、転倒などのささいな外力で起きます。年間約15万人の人が罹患しています。
骨折が起きますと、歩行不能になり、その移動能力はゼロで、寝たきり老人の原因となります。早期手術(金属固定および人工骨頭置換)、早期離床が治療の原則で、リハビリテーションを積極的に行います。金属固定の固定力も飛躍的に向上しています。
現在では、寝たきりの危険性は少なくなってきていますが、寝たきり老人は私たちが努力しても、10%前後出てしまいます。
いろいろな要因が、寝たきりになる原因に関与しますが、全員に共通するのは認知症です。ひどい認知症ですと、理学療法士の指示に従えず、リハビリテーションを続行することが困難になってくるからです。認知症は、骨折で悪化することが多く、日頃からの頭の手入れが大切と思います。手入れ方法は、最近薬の効果はじめ沢山の方法が報告されていますが、やはり毎日の運動、食事・食材、読書、手の仕事(写経など)などが基本です。

<追伸>
カラオケも認知症予防の大きな力です。さあ、今夜も歌いまくりましょう。誤嚥防止にもなります。