お知らせ

コラム

院長のコラム第129回 恩師那須先生 ご逝去

6月17日、名誉院長 那須亨二先生が当院で、ご逝去されました。享年95歳、安らかな最後でした。

私は、昭和47年岡山大学医学部卒業、1年の外科研修の後、岡大整形外科に入局、同年5月整形外科研修の第一歩を岡山川崎病院で始めました。
整形外科部長・那須先生のもとで、2年間厳しくも、温かく指導していただきました。
この2年間の研修で得たものは、私の人生の宝となりました。

当時の那須先生45歳、毎日精力的に働いておられました。
夜、急患が来れば、その処置、昼間は外来診療、手術、術後リハビリテーション診察・指示などの毎日で、アフターファイブもしっかりと楽しまれ、いつ睡眠をとられるのだろうと思う働きぶりでした。

その当時整形外科のベッド数は140床超、ほとんどが外傷患者でした。
外傷患者の手術はほぼ、すべて那須先生がされていました。
常に何か新しい方法は、なにか改良はと『アグレッシブ』でした。
術前準備にかける時間は半端でなく、1例1例に全力投球でした。
私がその当時那須先生の術前準備の様子を『赤城の山も今宵限り』と命名しました。
例えば大腿骨転子部骨折の症例の時、そのXP(その当時 CT画像は当然 ありません)を見なが
大腿骨骨標本を手にもって、骨折型を分析し、手術進入路、固定方法などを考えられるのです。
大腿骨骨標本を持っている姿が、まさに国定忠治『赤城山』でした。
用意周到な術前準備の大切さ、特に解剖の大切さを教えていただきました。

教えていただいたことは数知れず、今の私が在ります

恩師那須先生のご逝去は寂しいことですが、『ありがとうございました』と直接お礼を述べ、見送ることができた、私は幸せ者です。

合掌